サバイバーについて考える Vol.4 限界と恥 その1

健康的な恥とは、私たちに自分たちの限界について教えてくれる感情です。全ての感情と同じく、恥も私たちが基本的ニーズに出会えるように、私たちを動かしてくれるのです。

境界線がなくては、私たちは限界を失い、簡単に混乱してしまいます。

この世界は、決して形にならない良いアイデアやファンタジーを持つ人たちで溢れています、なぜなら彼らは鍛錬された限界というものを持ってないからです。

Healing the shame that binds you (あなたを縛るシェイムの癒し)

John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)


多くの成功哲学や精神世界についての書物では、限界を良くないものとして扱っています。

自分に限界を設定することで、可能性を失っているという理論で、それは確かに間違ってはいません。

一方で、子ども時代の傷から快復するための有効なセラピーでは、「自分の限界を感じられることは大切だ」という共通の理解があります。

サバイバーは、子ども時代に限界を感じることを許されてきませんでした。

生き延びるために、いつも限界を超えて、物事を達成しながら生き抜かなくてはいけなかったからです

自己評価のために頑張りすぎる人たちは、多くの場合このパターンを持っています。

これは、激しさを求めるサバイバーの質でもあります。

生き残るために必死で頑張っていたサバイバーが、それを達成して自己価値を感じられるようになると、それが本人の生き方として定着していくのです。

また、深く息をして、体や心を丁寧に感じられるようになると、行き場のない苦しさや痛みを感じてしまうので、感覚を麻痺させるために呼吸を浅くして、サバイバーとして頑張り続けているというのも、サバイバーが激しさの中にあり続ける理由です。

サバイバーたちは、限界を知らないために、ありとあらゆることで、限界を超えようとします。

良いアイデアや高い意欲、情熱を持ったかと思うと、次の瞬間にはそのことを忘れて、心ここにあらずでぼんやりしています。

彼らの思いは決して、現実的には実を結びません。

なぜなら、それは自分自身の境界線を知らないために生じていて、いまだに彼らの内側では、自己価値を失って傷ついた子ども達の深刻な生存競争が発生しているのです。

このことは、彼らの関係性にも様々な形で現れます。

※この文章を読む際の留意点
虐待の定義は、身体的、精神的、性的、ネグレクトと言われていますが、サバイバーの傷は、外部から見えやすい定義可能な虐待だけが原因とは言えません。ハートエデュケーションセンターでは、外部からはわかりにくいケアされない痛み、つまり、親が子の感情をネグレクトすること、バーストラウマ、機能不全家族の問題、家系から受け取ってきた負の連鎖なども、サバイバーを生み出す原因であると考えます。

※この記事は、過去のFacebookページの投稿を加筆修正しています。

ライター
  • 川村法子 2018年2月8日川村法子
    ハートエデュケーションセンター、Pranava Life代表。これまでに不登校、ひきこもり、心身症、アレルギーなどの身体の症状、依存症、DVや小児期の虐待(身体的、精神的、ネグレクト、性的)によるPTSD、関係性の問題、お金や仕事の問題などを、解決へと導いてきた…