サバイバーについて考える Vol.1 サバイバーと防衛

2020.6.24
ハートエデュケーションセンターのクラスの中で、何度も出てくる《サバイバー》という言葉は、身体的、精神的虐待を乗り越えた子どもたちという意味で使われます。

私たちが、学びの目標としているのは、サバイブすること、つまり、生き延びることを卒業して、生きることへシフトチェンジすることです。

サバイブしている時、私たちの呼吸は浅く、息を潜めていて、自分をオープンに表現することができません。

ショックや、痛みを感じないようにして、なんとか生き延びるために、感覚を麻痺させたり、忘れたり、事実を低く見積もったり、人のせいにしたり、自己卑下という痛みで、自分を覆い尽くして、事実をありのままにみて、ケアすることができないでいます。

これらは、全て無意識で生じていて、自分では避けられない衝動や運命のように感じられるでしょう。

防衛理論を知らなければ、自分の意識が防衛に乗っ取られていることには、気が付けないと言っても過言ではありません。

防衛している時は、とても正当性に満ちているので、場合によっては、それが《自分のありのままだ》という誤解さえ生じてしまうのです。

ですが、防衛したままでは、自分の本質をありのままに生きることはできません。

また、防衛している自分を責めることも、解決にはなりません。

もし、自分が防衛していることに気がついたら、自分を責めるのではなく「それしか出来なかった」という理解、つまり、「保護されるべき幼い自分を、守ってくれる人はいなかったので、幼いながらに自分で自分を防衛するしかなかった」と、防衛する内側の子どもに寄り添うことが大切です。

自分自身へ向けられるこのような意識が、成熟した親としてのあり方です。

※この文章を読む際の留意点
虐待の定義は、身体的、精神的、性的、ネグレクトと言われていますが、サバイバーの傷は、外部から見えやすい定義可能な虐待だけが原因とは言えません。ハートエデュケーションセンターでは、外部からはわかりにくいケアされない痛み、つまり、親が子の感情をネグレクトすること、バーストラウマ、機能不全家族の問題、家系から受け取ってきた負の連鎖なども、サバイバーを生み出す原因であると考えます。

※この記事は、過去のFacebookページの投稿を加筆修正しています。

ライター
  • 川村法子 2018年2月8日川村法子
    ハートエデュケーションセンター、Pranava Life代表。これまでに不登校、ひきこもり、心身症、アレルギーなどの身体の症状、依存症、DVや小児期の虐待(身体的、精神的、ネグレクト、性的)によるPTSD、関係性の問題、お金や仕事の問題などを、解決へと導いてきた…