健全な自我の力

2020.5.25

「数年前には、こんな形で癒しを受け取れる自分ではなかった。」という声を、主催しているグループワークで度々聞くことがある。

つまり、過去に同じような課題が浮き上がり、それをセラピストに指摘されたことがあるけれど、当時は理解できず、認められず、その場で、起こり得るはずの癒しが、自我の抵抗によって拒絶され、むしろ傷ついてしまったというのだ。

私も含めて、その人たちの現在の輝きを知っている周囲は、驚きながら、そして、共感しながら、話を聞くのだけれど、そんなことを信頼と正直さをもって話すことができる人たちは、やはり輝いているし、美しいなと感じる。

そんな風に語ることができるとき、その人たちは、自分の成長を確認してさらに自分を愛おしく感じられるし、そんな体験があるからこそ、他人にもきっと優しくあれるのだと思う。

毎回感じることだけれど、人の成長のプロセスを見せてもらうことは、私にとっても、グループ全体にとっても、とてもありがたいことだ。

こんな風に、過去には受け取れなかった気づきと癒しを、このワークで受け取ることができたという事例が、これまでたくさん報告されてきた。

これらの報告でも証明されているが、これまで提供してきたインナーチャイルドワークの効用の一つは、《癒しを受け取る土台が作られる》ことにある。

それが起こるのも当然で、私たちは、決して自我を悪者にしないことが、その主な理由だ。

私たちは、自我を否定して、説教やアドバイスをすることはないし、むしろ、自我と友人になる。

自我に寄り添い、その奥の真実にそっと触れる。

肉体を超えた魂に到達するために、肉体を否定し、禁欲してきた流派はたくさんあるのだろう。

だけれども、インドの神秘化OSHOは、肉体を否定することなく、むしろ、肉体に飛び込んでいくやり方を徹底した。

自我を越えるために、自我を否定している時、私たちは、やはり、自我に絡め取られてしまう。

コースの最初に、明確に伝えることがある。

それは「インナーチャイルドワークは、自我のワークである。」ということだ。

日本人は、自我のワークがあまり好きではないのかもしれない。

自我のワークは、日本人には強烈すぎると聞くこともある。

それでも、ここまでの結果が報告されていることを思えば、もしかしたら、時代も人も少しずつ変化してきたのかもしれないとも思う。

自我の弱い日本人にこそ、自我のワークが必要だということは明らかだ。

私たちは、ワークを通して、徹底して、自我と関わる方法を習得する。

ありとあらゆる自分自身の防衛に、怯むことなく向かい合っていく。

怯んでいるときは、仲間がサポートしてくれる。

時には「怯んだっていい、自分に戻れるまでちょっと休もう。」という励ましも受け取れる。

怯んで抵抗したって、それすら許されるのだ。

もう、全てがOKなのだから、抵抗のしようがない。

そして、自我は、ゆっくりとその硬い扉を開く。

私たちのワークの目的は、ここにこそある。

一度、扉が開いたら、ワークの役目は終了すると言っても過言ではない。

錆び付いた扉を開くことのできる自我でありさえすれば、その内側の光との出会いは、自動操縦で生じていく。

私たちは、この扉を開くことのできる自我を、《健全な自我》と呼ぶ。

《健全な自我》とは、《本当の自分=自己》へ到達するための大切な通過点だ。

《健全な自我》が構築された時、その扉の内側の光に助けられて、癒しは、その後も、ありとあらゆる形で受け取られていくのだ。

ライター
  • 川村法子 2018年2月8日川村法子
    ハートエデュケーションセンター、Pranava Life代表。これまでに不登校、ひきこもり、心身症、アレルギーなどの身体の症状、依存症、DVや小児期の虐待(身体的、精神的、ネグレクト、性的)によるPTSD、関係性の問題、お金や仕事の問題などを、解決へと導いてきた…