20.12.17

複雑性PTSD(C-PTSD)は、2018年に、精神医学において、PTSDとは異なるものとして明確化されたと言いますが、知れば知るほど、それは、私のかつての状態に酷似しています。

長期的、反復的に恐怖に晒され続けてきた人の複雑化したストレス障害であるC-PTSDは、感情コントロールの難しさや、人間関係の難しさ、体の感覚の麻痺や鈍さ、自律神経の乱れによる身体症状(頭痛など)、中毒的行動、罪悪感を常に感じる、突発的に破滅的行動に出るなど、人生のあらゆる場面で機能不全を生じさせます。

小児期逆境体験スコア(ACEスコア)4というハイスコア群である私が、どのように機能不全状態を克服してきたのか、少しずつ振り返りながら、綴ってみたいと思います。

便秘と冷え、長引く風邪症状がなくなった

30代前半で、すがるような思いで飛び込んだインナーチャイルドセラピー。受け始めて1年ほど経過した頃、小学校高学年から慢性的に続いていた便秘がなくなっていることに気がつきました。

特別なことは何もしていなかったので、治ったなんて信じられず、偶然だろうくらいに感じていましたが、セラピーを受け出して1年半経った頃には、もはや便秘はしてないことを認めざるを得ず、2年経った頃には便秘だった過去を忘れているほどでした。

そして、いつも手足が冷えて冷たかった症状も次第になくなり、年に2、3回くらいは1ヶ月ほど長引いていた風邪症状(特に咳)がなくなり、気がつくと、風邪をひくことそのものも少なくなっていきました。

それでも、やはり、長年の悩みであった、頭痛は残り続けました。

これについては、後でも書きますが、この3年ほどの集中的アプローチで、かなり改善してきたので、別途レポートを書いてみたいと思います。

もうほとんどないと言ってもいいくらいの頭痛ですが、ここまでいくつもの症状の治癒経過からわかるのは、私の内側でなり続けていた危険を知らせすアラートが収まり、ストレスホルモンが減って、自律神経が正常に働くようになり、内臓機能をはじめ、筋肉など、体のあらゆる部分が、正常な機能を取り戻してきたからでしょう。

セラピーを受け始めた当時は、これらの書籍にあることは知りませんでしたし、当時は出版すらされていませんでした。

ですが、改めて、自分が辿ってきた道のりを振り返った時に、実際に私が受けてきたセラピーが、まさにこの書籍に書かれてあるような質のものであり、私が辿ってきた道のりが間違いではなかったと知りました。

実際に、トラウマの癒しがどれほど大切かということがわかってから、香港で受けたソマティック・エクスペリエンスのワークは、とてもとても印象的であり、その癒しの大きさは、想像をはるかに超えていました。

そしてこのセッションが、私の頭痛が治癒へ至るための大きなブレイクスルーとなりました。

自由って怖い

セラピーを受けだしてどれくらい経った頃でしょうか、3年目くらい・・・?おそらく2年以上は経っていたと思います。

ある時、セラピストの誘導で感じた自分のハートが、とても広くて、まっさらで、大きくて、どこまでも無限に広がっているスペースだと感じました。

その時、何があってそう感じたのかの詳細を記録していないのですが、記憶にあるのは、それまで私は、ハートの中にたくさんのガラクタを詰め込んで、狭く、窮屈な状態で、ガラクタを背負いこんでいたということです。

思えば、私の人生にはずっと悩みがあって、悩みがないなんて信じられない状態を生きてきました。

そして、あまりにも苦しくて、セラピーの道に入り、数年かけて、やっと本来の自分のハートの状態を取り戻したのです。

ですが、その広く大きなスペースを前にした時に、最初に感じたのは<恐怖>でした。

「こんな広く大きなスペースで、私は何をしたらいいの?」

「何をしてもいい、自由でいいって、なんて怖いことなんだろう」

それが本音でした。

そんな私の震える小さなインナーチャイルドに向かって、「じゃあダンスでも踊ってみたら?」というセラピストの言葉は、私の内側を緩ませ、とめどなく涙が溢れたことを覚えています。

 

深くなる呼吸とゆるし

そんな自由への恐怖を、意識的に通過してみると、実際には、その恐怖は長続きしませんでした。

呼吸は深くなり、内側が広がって、ますます自由になっていく感覚を、私の心も体も喜んでいて、この感覚を止めるものはありませんでした。

そんな体験を通して感じるのは、人は、気持ちよくあること、良くなること、幸せなことに、自然に従っていけるということです。

そのためには、まず、私が体験したように「ガラクタを溜め込んだハートの状態は窮屈だ」と認識する必要があります。

複雑性PTSDのような、幼い頃から長期的、慢性的なストレスに晒され続けた人たちは、その状態が当たり前だと思っているので、認識そのものにひずみが生じています。

また、その苦しみの中でなんとか生き続けるために利用してきた<防衛>も頑丈になります。

「こうすることで親を助けられる」「こうしていたらなんとか家族が崩壊しないで済む」という子どもっぽい信念が膠着化して、無意識化で作用している場合、ガラクタを手放すことは怖いですし、それがなければ自分でいられないと思うのは当然です。

手放す、許すというのは、トラウマサバイバーにとって簡単なことではないのです。

そんな時は「手放せばスッキリするのに、私ってどうして手放せないんだろう!?」ではなくて、「今までそうやって生き抜いてきてくれてありがとう。」「そうすることしかできなかったね。」「一生懸命頑張ってきたんだね。」と、まずは過去の自分に共感を向けることから始める必要があります。

その上で、「もうそのやり方は、今は必要ないんだよ」「新しいやり方に取り組むのが怖くっても当然だよ」「あなたのタイミングで手放していいよ」「一緒に新しいやり方にトライしていこう」という、成熟した大人としてのあたたかい保護の眼差しを、自分自身に向ける必要があります。

また、この成熟した大人の視点は、深くなる呼吸とともにもたらされるというのも、大切なポイントです。

インナーチャイルドワーク(セラピー)を有効なものにするためには、成熟した大人の視点を持つこと、つまり、呼吸を深くして、意識的であることが、とても大切なのです。

そして、この成熟した大人の視点こそ、ハートのスペースに存在するものなのです。

ハートエデュケーションセンター
川村法子

続く