サバイバー回復レポートVol.2<孤独>という病

2020.12.3

ここ最近、しみじみと感じていることがあります。

それは、あれこれセラピーを受けてきたけれど、結局のところ、私の課題は<孤独>だったんだという結論です。

セラピーを受けてきたこの十数年の歩みを、何一つ否定はしませんが、シンプルにこの<孤独>に気がついていたら、また随分と道のりは違ったかもしれないなと思うのです。

もちろん、<孤独>であることも、私の神経の傷だとしたら、私の性格や考え方の問題と言って責める必要はないと感じています。

幼い頃から大人になるまで度重なった性的トラウマ、父の不在、母との癒着、ケアされなかった心の傷。

私には、十分に<孤独>でいてしまう身体的な傷があったんでしょう。

今まさに<孤独>を感じている人にも、かつての私にも、何一つ、自分のせいにする必要はないと伝えたいです。

そして、かつての自分の混乱も、複雑さも、全て抱きしめたいと思います。

それしか知らなかったし、それしかできなかった、むしろ、ここまで生きてきてくれてありがとう、そう過去の私に伝えたいと思います。

その上で、諦めずにセラピーを受けながら、健康であること、幸せであること、自分らしさを探求してきた、私の意志を讃えたいと思います。

幼い頃に、大人によってケアされなかったこと、機能不全の家族の中で間違って受け取ってきてしまった傷は、何一つ子どものせいではありません。

ですがそれを癒していくことは、大人になった自分の責任なんですね。

そして、もはや、<孤独>であることは、個人の問題ではないようにも感じます。

<孤独>は、個人に影響を及ぼしていますが、社会問題としてあらゆるところにはびこっています。

不登校やひきこもりの問題、コロナ禍における女性の自殺の増加は、日本という国固有の問題でもあります。

また、DVや虐待の問題も、私がかつてパニックを起こしていたことも、鬱だったことも、共依存的でパートナーとの健全な関係が築けなかったことも、何もかもの奥底に、日本の社会構造が引き起こした<孤独>という日本人の病があるのを感じます。

不登校やパートナーシップの問題など、現象として現れることは異なりますが、根っこは一緒なんです。

そんな地獄のような苦しみの中で、何かがおかしいと自問し、ただ感情を抑圧したままいることを良しとしなかったことが、何よりも私を助けてきたと思います。

先を見ると、道は長く、いつこの苦しみが無くなるのか見えず、道がどこに向かうのかもわかりません。

ですが、最初に踏み出す一歩からしか、スタートしません。

一歩、そして、また一歩と、傷を癒す旅路は、結局は、小さな一歩のつながりだと言えます。

ですから、サバイバーの回復の道のりには、ただ、その一歩を踏み出す勇気だけが、いつも必要です。

仲間と共に歩むこと、一人にならないこと、自分の<孤独>を見ていること、また、その<孤独>を自分のせいにしないこと。

このような意識の持ち方が、サバイバーの回復の道のりを開拓していきます。

<孤独>という病は、必ず終了させることができる。

今も、私は、そんな気持ちで、回復のプロセスを歩んでいます。

続く

ライター
  • 川村法子 2018年2月8日川村法子
    ハートエデュケーションセンター、Pranava Life代表。これまでに不登校、ひきこもり、心身症、アレルギーなどの身体の症状、依存症、DVや小児期の虐待(身体的、精神的、ネグレクト、性的)によるPTSD、関係性の問題、お金や仕事の問題などを、解決へと導いてきた…