2020.8.11

たくさんの素晴らしいセラピーが、10年前よりも、確実に広く伝えられていると感じています。

それだけ多くの人が心に目を向け始めたことの表れなのでしょうし、そうせざるを得ない状況に、確かに社会が向かっているようにも思います。

その流れの拡大と比例するように、「本気で変わりたい」という声も、たくさん聞くようになりました。

ハートエデュケーションセンターのワークでも、本質的な変容こそが、いつも目指すところであるのは事実です。

「人は自然の一部だから、自然が変わりゆくように、人も変わっていく。」

「本当の変容は、静かに、自分が気がつかないうちにやってくる。」

というようなことを、講座で何度も伝えてきたように思いますし、実際に各コースに参加中の方たちは、そんなことを体験中かもしれません。

そして、それをセラピストとして目の当たりにさせてもらえることは、この上なくありがたいことです。

私自身が辿ってきた道であり、現在進行形でもあるからこそ、共にその道を歩む仲間として、応援したい気持ちや信頼が自然と湧いてきます。

セラピーをスタートする以前、人生のどん底をなんとか這い上がった後、大混乱の渦の中にいた15年前と、全く違う自分を今生きているからこそ、私に生じたことを、いくつかの大切な理論に落とし込んで、今、自信を持って人に伝えています。

さて、そんな《本気で変わることを望む人》を全力で応援しているハートエデュケーションセンターですが、ときどき感じることがあります。

それは、多くの人は「変わりたい」というけれど、「変わりたくない」っていう人はあまりいないな・・・ということです。

確かに「変わるのは怖いから、このままでいたい」なんていう人が、どうしてお金と時間を使って、わざわざセラピーの場に来る必要があるというのでしょう。

なんだか矛盾したようなことを語っているように感じるかもしれませんが、「変わりたい」と本気で思っている人たちに、伝えたいことがあります。

それは、どうか「変わりたくない」という怯えた自分に、一度でもいいから触れてみてほしい、ということです。

「本当は、怖くって、変わりたくなんかなくて、その場所から一歩も前に進めない。」

「この場所から出て行ったら、どう生きていっていいかもわからない。」

一度でもいいから、そんな絶望的な場所にいる自分を感じてほしいのです。

誰だってポジティブでいたいし、痛いのも苦しいのも好きではありません。

キラキラ輝いていたいし、健康的でまともな大人のふりをしていたいでしょう。

だけど、自分が、どれだけ内側で怯えていて、変わることを恐れ、一歩も踏み出せないって信じ込んでいるのか。

それを知ったら、そこにこそ愛を注げたら、そこから生命が蘇るのです。

絶望のどん底。

完全なる敗北者。

かつてあるワークの最中に、そんな自分に触れて、私は、しばらく床に伏せたのちに、自らの力で立ち上がりました。

心の奥深く、誰も知らないような感情の船底に、敗北者となって、力を失い、倒れている自分。

それを知ることは、決して悪いことじゃないどころか、自分自身を取り戻すために、とても大切なことでした。

その船底に沈んだ自分は、救いようがないほど瀕死で、このままだと生きていけないからと、意識の奥底に、隠され続けてきたのです。

そんな自分を見ないまま、「変わりたい」と叫んでいるとしたら、救われないままの死にかけた自分は放置され、変わろうとしても変われないというジレンマが、続いてきたことでしょう。

インナーチャイルドワークは、セラピーの過程で、どれだけこの瀕死の自分を救い出せるのか、ということにかかっています。

何度も繰り返し、船底に潜って、子どもたちを救い出す。

その繰り返しの先に、静かに新しいステージを生きる自分と出会うことができるでしょう。

それは、その子を抱きしめられる、成熟した大人の自分が、内側に育った証です。

「変わりたい」と言い続けた先に、「変わりたくない」っていう自分を見つけたとき、私たちは、本当に、変わります。

変わろうともがき続けるのではなく、とても、自然に、自らの力で立ち上がり、生きる世界が180度変わるのです。

それは、別の表現をすれば、気づきによって、360度、世界がひらけて、自分は一歩もその場所から動かないのに、新しい世界が見えることかもしれません。

セラピーとは、意識の船底にある真実に何度もタッチしながら、自らのパワーを取り戻し、世界を見る目を変化させていくことなのです。

※この記事は、過去のブログを加筆修正しています。